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文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻12号

1977年12月発行

特集 青年期の精神病理

治療的な観点から

著者: 小倉清1

所属機関: 1関東中央病院精神神経科

ページ範囲:P.1277 - P.1283

文献概要

I.はじめに
 精神科の臨床において,青年期の人々は,とかく理解しにくく,また扱いにくいので敬遠したくなるというのが,まずは一般の印象であろう。別に臨床の場でなくても,この時期の人々は気まぐれで,お天気屋さんで,予測がつきにくい行動を示して,まわりからけむたがられるのである。まるで矛盾だらけの言動を示してまわりを困らせたり,怒らせたりしておきながら,本人はケロリとしていたり,場合によってはさらに挑戦的になったりする。まわりからの期待に対してまったく冷たい態度をとっているかと思えば,一瞬にして身代りの早さをみせたりする。いやに素直でいい子だなと思った次の瞬間には,アッという間に足をすくわれるという始末である。このようにただでさえ激しい変動を示す人々なのだから,臨床の場ではなおのこと,大変な事態が想像されるのである。確かにそういう面はあるといえよう。しかし,どんな言動にもそれなりの背景があり,理由がある。
 この時期の人々の治療を行なってゆくうえで,やはりある程度,彼等の特徴を頭におき,それらに対応した考えをもっていないと,徒らに混乱と困難とを招くことになりかねない。さらにこういった特徴が,いわゆる病的といわれる状況のもとでどんな現れ方をするのかをもよく知るべきであろう。そしてその上で個々のケースについての深い理解をもって,具体的な治療を行なってゆくのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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