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文献概要
特集 青年期の精神病理
青年期と自殺—現代的特徴を中心に
著者: 稲村博1
所属機関: 1筑波大学社会医学系精神衛生学
ページ範囲:P.1323 - P.1333
文献購入ページに移動I.はじめに
青年期が,人生のうち最も敏感で煩悶苦悩の多い時期であることは言うまでもないが,そのため自殺の問題がまことに身近なものとなる。これは国境や人種を越えた普遍的なものであり,例えばドイツの哲学者ジークムントは,「すべての若者に共通な自殺への傾斜」と表現している。
こうした傾向は,いつの時代にも共通したものであるが,しかしまた,時代風潮の影響を受けてその内容が刻々と微妙な変化をするのもまた自然なことである。
そこで本論文では,まず初めに青年期における自殺の一般的特徴を簡単にまとめ,続いて最近の傾向を自験の事例を中心にしながら述べてみたいと思う。
青年期が,人生のうち最も敏感で煩悶苦悩の多い時期であることは言うまでもないが,そのため自殺の問題がまことに身近なものとなる。これは国境や人種を越えた普遍的なものであり,例えばドイツの哲学者ジークムントは,「すべての若者に共通な自殺への傾斜」と表現している。
こうした傾向は,いつの時代にも共通したものであるが,しかしまた,時代風潮の影響を受けてその内容が刻々と微妙な変化をするのもまた自然なことである。
そこで本論文では,まず初めに青年期における自殺の一般的特徴を簡単にまとめ,続いて最近の傾向を自験の事例を中心にしながら述べてみたいと思う。
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