文献詳細
研究と報告
文献概要
I.はじめに
精神病者の自殺に関する最近の研究は,主として入院患者を対象にして精神医学的・心理学的立場からなされてきており,精神病者の自殺を単に自殺の生物学的一要素として取り扱う従来の立場から,自殺者の人格構造を理解し,自殺行為の心理機制を明らかにしようとする力動的立場へと方向を変えてきている。
精神病者の自殺を研究する場合,入院者を対象とすることは研究上資料が得やすく,かつ症状が詳細に把握できるため,自殺の精神病理を詳しく研究するには便利である。しかし反面,症例が限られ,また入院という特殊な環境条件が加わるということのほかに,社会の中にある精神病者の自殺なども含めた横断的傾向が把みにくいという欠点もある。
この小論は,島根県下における全自殺者について,従来あまりなされていない精神病者と非精神病者の比較,さらに精神病者については外来群と入院群を比較し,精神病者の自殺の横断的傾向を明らかにしようとしたものである。
精神病者の自殺に関する最近の研究は,主として入院患者を対象にして精神医学的・心理学的立場からなされてきており,精神病者の自殺を単に自殺の生物学的一要素として取り扱う従来の立場から,自殺者の人格構造を理解し,自殺行為の心理機制を明らかにしようとする力動的立場へと方向を変えてきている。
精神病者の自殺を研究する場合,入院者を対象とすることは研究上資料が得やすく,かつ症状が詳細に把握できるため,自殺の精神病理を詳しく研究するには便利である。しかし反面,症例が限られ,また入院という特殊な環境条件が加わるということのほかに,社会の中にある精神病者の自殺なども含めた横断的傾向が把みにくいという欠点もある。
この小論は,島根県下における全自殺者について,従来あまりなされていない精神病者と非精神病者の比較,さらに精神病者については外来群と入院群を比較し,精神病者の自殺の横断的傾向を明らかにしようとしたものである。
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