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雑誌詳細

文献概要

特集 精神分裂病の精神生理学

精神分裂病者の視覚誘発電位と臨床像

著者: 門林岩雄1 加藤伸勝1

所属機関: 1京都府立医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.357 - P.367

I.はじめに
 精神分裂病は精神疾患の中で最も頻度の多い重要な疾患であるにもかかわらず,その診断は主に臨床症状に拠っており,それがために境界は鮮明ではない。また精神分裂病が単一疾患であるのか,あるいは複数の疾患群であるのかという問題も繰り返し論議されてきて,近年は後者を支持する学者が多くなってきているが9,24,25),いまだ定説となり得ていない。これらのことは精神分裂病を研究するにあたって大きな障害となっていることは否めず,客観的診断法,客観的分類法の確立のまたれる所以である。
 われわれは,精神分裂病患者の視覚誘発電位が15分間の加算作業後振幅減少することを認め13〜16),そのような変化のみられない正常者13,14),神経症患者14〜16),躁うつ病患者19),非定型(内因性)精神病患者20)と鮮やかな対比をなすことをみた。さらに,いったん減少した精神分裂病患者の視覚誘発電位の振幅が時間経過とともに回復していくが,その回復過程に4つの型のあることを認めた16)。本論文ではそれら4つの型の臨床像を克明にしらべ,これからの研究の1つの足がかりとしようとするものである。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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