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特集 精神分裂病の精神生理学
精神分裂病者とその家族の視覚性認知過程—注視点記録装置による分析
著者: 守屋裕文1 安藤克巳2 豊田堯1 島薗安雄1
所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室 2金沢医科大学神経精神医学教室
ページ範囲:P.387 - P.397
文献購入ページに移動多くの慢性分裂病患者に接していると,その生活態度,行動パターンに共通性があることに気づく。浜田9)によれば,古い分裂病患者に「かくれんぼう」をさせると,鬼からまる見えのところにかくれたり,何時もきまって同じところにかくれたりする。鬼は鬼で,まる見えの人に気づかず,他所を探したり,一度ねらいをつけた人だけをいつまでも追いかけるということである。このように患者は周囲の空間をまるで見ていないような動きをしたり,一定の対象物に固着しているような態度をとる。このような行動をみていると,患者が周囲の空間をどう認知しているのかを科学的に解析することが慢性分裂病患者の特異な行動パターンを理解する上で重要なことのように思われる。
分裂病患者の家族についての研究はこれまで数多く報告されているが,最近,Reiss19)はこれまでの家族研究を再検討して,それらがなお心因論的研究にとどまっていること,これと生物学的研究成果の結びつきが必要であることを指摘している。そして,子どもの注意と知覚能力の発達は,家族生活におけるコミュニケーション過程によって影響されるが,また遺伝的に規定される点も大きいことから両者の結びつきの可能性を論じている。
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