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文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻5号

1977年05月発行

文献概要

研究と報告

隠居のむら(三重県志摩郡国府)の精神医学的調査

著者: 東村輝彦1 平本喜六2

所属機関: 1京都第一赤十字病院精神科 2三重県立志摩病院精神科

ページ範囲:P.493 - P.497

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I.はじめに
 核家族化が進む現代の家族状況のなかで,"老人と嫁の天国"といわれている三重県志摩郡国府の部落では,400年以上も続いている隠居制度が今も厳然と守られている。このような隠居制度は,自ずと家族内の人間関係にさまざまな影響を及ぼしているものと思われる。姫岡らは,社会学的立場から次のような点をその影響としてあげている。すなわち,嫁姑の間が他人行儀ではあるが対立・摩擦が少ない,離婚が少ない,親夫婦,継嗣夫婦のいずれも夫婦の結びつきが緊密である,長兄と弟妹,祖父母と孫の関係が疎遠なことなどである。また,この隠居制度は,深刻化する老人問題を考えるうえで,貴重な示唆を与える―子や孫が,両親や祖父母と"スープのさめない距離"に住む―制度として最近各方面から注目されている。
 われわれは精神医学的立場から隠居制度と精神衛生,隠居制度のなかでの精神障害者の生き方などを知るために,まず,国府地区の精神障害者の実態を調べることを試みた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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