icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻5号

1977年05月発行

文献概要

研究と報告

Amoxapineの臨床使用経験

著者: 山本裕水1 恩田寛1 原田一彦1 久保田厳1 中田省三1 桐林しずほ1 松村英幸1 佐伯彰1 越智真理子1 山田薫1 遠藤俊吉1

所属機関: 1日本医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.514 - P.526

文献購入ページに移動
(1)Dibenzoxazepine誘導体に属する新抗うつ薬amoxapine(CL67,772)を25例のうつ病(内因性うつ病:23例,神経性うつ病:2例)に使用した。
(2)治療効果は23例の内因性うつ病で,10例が著明改善,11例が中等度改善,2例が不変であった。内因性うつ病に対する中等度改善以上の有効率は87.5%であった。なお2例の神経性うつ病では,著明改善1例,軽度改善1例であった。
(3)初老期うつ病と老年期うつ病を合わせた6例では6例とも中等度改善以上であり,有効率100%であった。
(4)本症例25例の中で20例(80%)に7日以内の効果発現がみられ,速効性であるという印象を得た。
(5)症状の上では,本剤は抑うつ感情,抑制症状の改善にかなり有効であり,特に感情賦活効果が優れているという印象をもった。
 なお,睡眠障害のみられる症例には,比較的少量の催眠剤を併用したため,厳密な判定は困難であるが,身体症状(睡眠障害,食欲不振など)の改善にも有効であった。それに比し,抗不安作用は若干劣る印象を得た。
 また,強迫症状にも,有効性が認められた。
(6)副作用は25例中12例(48%)にみられ,症状別には,めまい,振戦,眠気,排尿障害,口渇,ふらつき,立ちくらみ,運動失調などであったが,その程度は軽微で,抗コリン性副作用は弱いものと思われる。なお副作用出現により投与中止に至る症例はみられなかった。
(7)臨床検査結果では,著変はみられなかった。血圧にも変化はみられなかったが,脈拍は頻脈傾向が認められたため,本剤投与時には,循環器系への影響も充分に考慮する必要があろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら