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研究と報告
Amoxapineの臨床使用経験
著者: 山本裕水1 恩田寛1 原田一彦1 久保田厳1 中田省三1 桐林しずほ1 松村英幸1 佐伯彰1 越智真理子1 山田薫1 遠藤俊吉1
所属機関: 1日本医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.514 - P.526
文献購入ページに移動(2)治療効果は23例の内因性うつ病で,10例が著明改善,11例が中等度改善,2例が不変であった。内因性うつ病に対する中等度改善以上の有効率は87.5%であった。なお2例の神経性うつ病では,著明改善1例,軽度改善1例であった。
(3)初老期うつ病と老年期うつ病を合わせた6例では6例とも中等度改善以上であり,有効率100%であった。
(4)本症例25例の中で20例(80%)に7日以内の効果発現がみられ,速効性であるという印象を得た。
(5)症状の上では,本剤は抑うつ感情,抑制症状の改善にかなり有効であり,特に感情賦活効果が優れているという印象をもった。
なお,睡眠障害のみられる症例には,比較的少量の催眠剤を併用したため,厳密な判定は困難であるが,身体症状(睡眠障害,食欲不振など)の改善にも有効であった。それに比し,抗不安作用は若干劣る印象を得た。
また,強迫症状にも,有効性が認められた。
(6)副作用は25例中12例(48%)にみられ,症状別には,めまい,振戦,眠気,排尿障害,口渇,ふらつき,立ちくらみ,運動失調などであったが,その程度は軽微で,抗コリン性副作用は弱いものと思われる。なお副作用出現により投与中止に至る症例はみられなかった。
(7)臨床検査結果では,著変はみられなかった。血圧にも変化はみられなかったが,脈拍は頻脈傾向が認められたため,本剤投与時には,循環器系への影響も充分に考慮する必要があろう。
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