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巻頭言
慢性疾患医療としての精神医療
著者: 原田憲一1
所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.554 - P.555
文献購入ページに移動 1.この表現はやや妥当でない。より正確にいうなら,「精神医療の慢性疾患医療的一側面」というべきであろう。
精神疾患(今日,その中心は精神分裂病とよばれている一群である)を慢性病と規定することには異論もあろう。また精神医療を全体として慢性疾患医療の中に一般化してしまうのは誤りであろう。精神疾患,ひいては精神医療の特殊性は否定されるべきではない。しかしこの特殊性を強調するあまり,精神医療がもっているところの慢性疾患医療一般と共通する側面に無知でいるのも正しくない。精神医療の特殊性が,精神障害への偏見につながったり,他の医療から特別扱いされて孤立し,さらに或る場合には精神科医が一人よがりになる場合もあるように思う。精神医療が直面している多くの困難の中に,精神医療なるが故の困難ではなく,わが国の(あるいは世界中の)慢性疾患医療全体に共通する困難があるのではないか。精神医療の特殊性を正しく把握するためにも,その特殊でない部分を深く知る必要がある。
精神疾患(今日,その中心は精神分裂病とよばれている一群である)を慢性病と規定することには異論もあろう。また精神医療を全体として慢性疾患医療の中に一般化してしまうのは誤りであろう。精神疾患,ひいては精神医療の特殊性は否定されるべきではない。しかしこの特殊性を強調するあまり,精神医療がもっているところの慢性疾患医療一般と共通する側面に無知でいるのも正しくない。精神医療の特殊性が,精神障害への偏見につながったり,他の医療から特別扱いされて孤立し,さらに或る場合には精神科医が一人よがりになる場合もあるように思う。精神医療が直面している多くの困難の中に,精神医療なるが故の困難ではなく,わが国の(あるいは世界中の)慢性疾患医療全体に共通する困難があるのではないか。精神医療の特殊性を正しく把握するためにも,その特殊でない部分を深く知る必要がある。
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