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研究と報告
テストに現れた分裂病患者と同胞の比較—両親との関係をめぐって
著者: 末次哲朗1
所属機関: 1日本大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.589 - P.597
文献購入ページに移動 寛解状態に達した分裂病患者とその家族成員(父親,母親,同胞)に音調テストおよびICLを施行した症例を,従来の分析方法とは異なる方法,いわゆる質的分析方法を用いて検討し,主として患者と同胞の比較を行なって次の結果を得た。
(1)同胞は患者に比較して両親とステレオタイプの共通例が多かった。特に父親との間に共通例が多かった。さらに,同胞は量的分析結果で評価の良い反応を示しており,共感性という面において極端に2つの面を持っていることがうかがわれた。
(2)患者は音調テストでは両親との共通性が少ないがICLでの共通例が多くなっており,特に父親との間に共通例が多かった。
(3)テストを通して,親一同胞,親一患者の共通点の差を抽出し,その差を親の影響の差と考え,両者の生育過程での親との関係の差としてとらえてみた。
(4)患者の示すraw empathyとernpathicunderstandingとの2層間の解離について述べ,合わせて分裂病家族の“成全されざる併存”という様態との関係について触れた。
(1)同胞は患者に比較して両親とステレオタイプの共通例が多かった。特に父親との間に共通例が多かった。さらに,同胞は量的分析結果で評価の良い反応を示しており,共感性という面において極端に2つの面を持っていることがうかがわれた。
(2)患者は音調テストでは両親との共通性が少ないがICLでの共通例が多くなっており,特に父親との間に共通例が多かった。
(3)テストを通して,親一同胞,親一患者の共通点の差を抽出し,その差を親の影響の差と考え,両者の生育過程での親との関係の差としてとらえてみた。
(4)患者の示すraw empathyとernpathicunderstandingとの2層間の解離について述べ,合わせて分裂病家族の“成全されざる併存”という様態との関係について触れた。
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