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文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻6号

1977年06月発行

文献概要

研究と報告

激烈な精神症状を主症状とした急性瀰漫性リンパ球髄膜脳炎の1治験例

著者: 宮真人1 藤田孝司1 前田進1

所属機関: 1群馬大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.607 - P.613

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Ⅰ.はじめに
 急性脳炎あるいは髄膜脳炎は,発熱,明瞭な意識障害,神経学的所見,髄液所見などにより,比較的容易に診断され得るが,病初期に精神症状が前景に立ち,上記の徴候に欠ける場合は,鑑別診断に困難があり,日常臨床上,重要な問題を含んでいる13)。殊に,急性瀰漫性リンパ球髄膜脳炎は,精神運動性興奮,昏迷などの精神症状が多彩な反面,神経症状や巣症状に極めて乏しい,致死性の高い疾患であり,そのため,急性致死性緊張病との鑑別診断を慎重にする必要性が強調されている4,7,12)
 今回,われわれは,昏迷をもってはじまり,激烈な精神運動性興奮,緊張病様症状を示し,種々の程度の意識混濁を伴うが,副腎皮質ステロイドの大量療法および,全身状態の維持に力を注いだことにより,昏睡に至らず,さしたる後遺症を残さずに治癒し得た急性瀰漫性リンパ球髄膜脳炎の1例を経験したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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