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文献概要
展望
パトグラフィ1965-1976
著者: 福島章1
所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所犯罪精神医学研究部門
ページ範囲:P.664 - P.688
文献購入ページに移動I.はじめに
この展望は,1965年から1976年にいたる10余年間のパトグラフィ研究の概要を,日本を中心としてまとめようと試みたものである。1965年を始点にとる理由は,宮本忠雄238)の浩翰な展望「Pathographie研究の諸問題」がこの年に「精神医学」誌に発表され,それまでの主要な研究動向と文献がおおよそ概観され網羅されているからである。ちなみにこの文献リストは,1970年の論文集246),1973年の異常心理学講座への改稿254)においてしだいに充実追加されている。
ところで,上の展望で宮本は「一般的にいって,日本では従来Pathographieという領域が健全に発展しうる土壌を欠き,これまでに発表されたわずかな仕事にしても,趣味的にながれたり,随筆風なものにすぎなかったりで,学問としての体をなしていなかったし,現在でもそれ以上のものとなっているとはいいにくい」と嘆いている。しかし13年後の今日の現状は多くの点で変化している。すくなくとも量的には,きわめて多くの研究が発表されるようになったのは,本展望の文献表にみるとおりである。そこで,この間題をふたたび,いくつかの側面から概観してみたいと思う。
この展望は,1965年から1976年にいたる10余年間のパトグラフィ研究の概要を,日本を中心としてまとめようと試みたものである。1965年を始点にとる理由は,宮本忠雄238)の浩翰な展望「Pathographie研究の諸問題」がこの年に「精神医学」誌に発表され,それまでの主要な研究動向と文献がおおよそ概観され網羅されているからである。ちなみにこの文献リストは,1970年の論文集246),1973年の異常心理学講座への改稿254)においてしだいに充実追加されている。
ところで,上の展望で宮本は「一般的にいって,日本では従来Pathographieという領域が健全に発展しうる土壌を欠き,これまでに発表されたわずかな仕事にしても,趣味的にながれたり,随筆風なものにすぎなかったりで,学問としての体をなしていなかったし,現在でもそれ以上のものとなっているとはいいにくい」と嘆いている。しかし13年後の今日の現状は多くの点で変化している。すくなくとも量的には,きわめて多くの研究が発表されるようになったのは,本展望の文献表にみるとおりである。そこで,この間題をふたたび,いくつかの側面から概観してみたいと思う。
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