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文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻7号

1977年07月発行

文献概要

研究と報告

Pentazocine長期使用に伴う臨床症状と脳波異常について—主として中枢神経系への影響

著者: 毛利義臣12 山内俊雄1

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室 2現在旭川医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.711 - P.720

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I.はじめに
 Pentazocineは,非麻薬性の合成鎮痛剤として,1959年にWinthrop社で開発された。その鎮痛効果はmorphineにも匹敵し,しかも本剤は麻薬に対して拮抗作用をもち,反復投与しても依存形成が少ないとの評価を受け6,26,28),現在まで広く50数カ国で用いられている。わが国でも1970年注射剤としてソセゴン・ペンタジンの名で発売され,広く各科領域の疼痛患者に使用されており,主として持続性の疼痛,がん性疼痛などに長期連用される場合が多いようである。
 ところで,本剤を長期連用することにより,薬物依存の生ずることが1968年にKeup10)によってはじめて報告されて以来,同様の報告が相次いで報告され4,17,20),統計的にも0.001%の比率で依存が形成されるとみなされており6),その反復使用にあたっては十分な監視が必要といわれている8,10,13,15,28)。わが国でも1972年の小片らの報告15)をはじめとして現在までに10数例の報告1,13,24,25)がみられるが,実際の依存例はこれをはるかに上回る数になると思われ,今後とも本剤の使用量の増加に伴って依存症例が増し,種々の問題を生ずることが予想される。
 われわれは最近pentazocine長期連用患者で離脱後に禁断症状とともに脳波異常を呈した2例と,連用中で特別の副作用の認められない時期から脳波異常を示した1例を経験したのでその概要を報告し,主として本剤の中枢神経系への影響について従来の知見と比較し検討したい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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