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特集 在宅精神医療(2)—社会復帰活動とその周辺
一民間機関における精神衛生活動—やどかりの里の経過と現状
著者: 谷中輝雄1 田口義子1 荒田稔1 高畑隆1 北村早穂1
所属機関: 1社団法人やどかりの里
ページ範囲:P.861 - P.867
文献購入ページに移動やどかりの里を語るのにはいくつかの困難さを感じる。一つはめまぐるしいほどにあり方が変化してきたことである。二つには“いわゆる社会復帰施設”としてだけでは言いつくせないものがある。しかし,これら一連の流れの中に一つの特徴をとらえることができる。すなわち,一民間機関であったということである。それ故に,その時々の問題や状況の対応において,機関のあり方が流動性,柔軟性を持っていたことである。専従会員(スタッフ)が軸になり意見をまとめたり,方向性を見出す役割を持っていたにしろ,会員全体の共働作業によって作りあげてきた作品ともいえる。したがって,その歩みも「医療」から「福祉」を主張し,「福祉」から「市民」として,ごくあたりまえの社会生活を求めるといったように変化してきている。この変化には,埼玉県での精神科医療状況とも深くかかわりを持っている。発足当時(昭和45年),「中間施設」についての問題が提起されていた時でもあり,これらとも深く関係していると考えられる。いずれにせよ,今日に至るまで模倣するものすらなく現実の様々な要請に対応してきたのが実情である。
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