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文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻9号

1977年09月発行

文献概要

研究と報告

自己誘発光源性てんかんの1例—その誘発機序と経過について

著者: 新里邦夫1 永田行俊1

所属機関: 1鹿児島大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.959 - P.964

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I.はじめに
 てんかん発作を自分自身で誘発する奇妙な症例が稀にみられる。一般に視覚性反射てんかんで,太陽を見ながら眼前で指を振ったり,まばたきをしたりして,断続光を求め,発作を誘発する。発作はほとんど全般性てんかんに分類されるが,全身けいれん発作の頻度は少なく,欠神発作のかたちをとるものが多い。脳波上,閃光刺激で棘徐波結合が誘発され,てんかん性発作とみなされるが,抗てんかん剤の効果はほとんど期待できない。発病年齢は小児期で,知能の発育遅滞を示すものが多い。自己誘発の機序はいろいろ推測されているが,詳細は不明である1,2)
 われわれは,眼前指動で自己誘発される後ずさり欠神発作,多動傾向,および閃光刺激に対する光過敏性などの症状がdiazepamにより軽快し,養護施設への入園を契機に,完全に改善された自己誘発性光源性てんかんの1症例を経験したので,その自己誘発機序と経過について考察する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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