文献詳細
研究と報告
ナルコレプシーと慢性幻覚妄想状態を呈した進行麻痺の1例
著者: 小川一夫1 日下部康明1 横井晋1
所属機関: 1群馬大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.965 - P.971
文献概要
進行麻痺の主軸症状は,脳の器質的損傷による人格の崩壊と知的機能の低下とされているが,近年比較的早期に発見できることや,penicillin等抗生物質が用いられよく奏効することなどのため,非定型的な病像を呈するものが増えているようである1,2)。
ここに報告する症例も,こうした非定型的病像を呈した進行麻痺の1例である。すなわち,本症例は梅毒罹患後約7年目で易怒性,乱買癖などの人格変化と,ナルコレプシーの主症状を示し,さらに10数年後頃より入眠時幻覚などを基礎として妄想を発現,その後10年の経過の中で確固とした誇大的,被害的妄想体系を構築したが,知的機能の低下はさほど顕著ではない50歳女子の1例である。
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