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文献詳細

雑誌文献

精神医学2巻1号

1960年01月発行

文献概要

研究と報告

酒客のCyanamideによる飮酒量抑制効果について

著者: 向笠寛1

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.23 - P.28

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Ⅰ.緒言
 慢性酒精中毒の治療がしばしば失敗する最大の理由は,患者が飲酒の誘惑(酒を飲む楽しみ,あるいは酒を飲んでStressを忘れること)に負けて抗酒薬の服用を止め,ふたたび飲酒を試みる結果,たちまち従前通りの連続的大量飲酒をはじめるに至ることである。したがつて,Antabuseの発見者E. Jacobsenもいうように1),酒精中毒者から飲酒の楽しみをすべて奪い去るのでなく,常人なみの飲酒はこれを続けさせることができるような手段があればもつとも合理的であろう。そしてこれは慢性酒精中毒者達の夢でもある。しかしながら不幸にしてこのような手段は現在まで発見されておらず,今日唯一可能な方法は,絶対的禁酒を生涯続けさせることである。
 私はさきにCyanamide(以下Cy. と略記)の抗酒作用について報告し4),それが極めて著明な抗酒作用を持ち,かつ速効性,安全性,廉価,副作用がないなどの点で,Antabuseや石灰窒素に優ることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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