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—Hans W Gruhle 著—了解心理学 Verstehende Psychologie—〔第1回〕
著者: 秋元波留夫 東京大学医学部精神医学教室精神病理学グループ
所属機関:
ページ範囲:P.55 - P.59
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Hans Gruhle(1880-1958)の代表作「了解心理学」"Verstehende Psychologie"(第2版,1956年)をこれから7回にわたつて解説することになつた。本書をテキストとして教室の精神病理グループの諸君が輪読を行つているので,そこで討議されたことをまとめて,この書物の特色をできるだけ鮮明な形に整理することが本稿の目的である。しかし,原著はなにぶん600頁に近い大著であるし,この本の副題が「体験の学」"Erlebnislehre"と誌されているように,理論よりも体験を重んずる著者の態度からしても,およそダイジェストには不適当である。このような書物を限られた紙面に圧縮することは至難でもあるし,下手をすると著者の精神を歪曲することにもなりかねない。この点については解説にあたるものとして討議をつくして遺漏なきを期したい。
この書の中心はいうまでもなく精神医学のαでありωたる「心理的事実の了解」という根本的命題であり,これをEmil Kraepelinとその弟子たち,Karl Jaspers,Kurt Schneiderおよび著者らに共通する経験批判の立場から,著者独特の鋭い論法を用いて敍述したものである。
Hans Gruhle(1880-1958)の代表作「了解心理学」"Verstehende Psychologie"(第2版,1956年)をこれから7回にわたつて解説することになつた。本書をテキストとして教室の精神病理グループの諸君が輪読を行つているので,そこで討議されたことをまとめて,この書物の特色をできるだけ鮮明な形に整理することが本稿の目的である。しかし,原著はなにぶん600頁に近い大著であるし,この本の副題が「体験の学」"Erlebnislehre"と誌されているように,理論よりも体験を重んずる著者の態度からしても,およそダイジェストには不適当である。このような書物を限られた紙面に圧縮することは至難でもあるし,下手をすると著者の精神を歪曲することにもなりかねない。この点については解説にあたるものとして討議をつくして遺漏なきを期したい。
この書の中心はいうまでもなく精神医学のαでありωたる「心理的事実の了解」という根本的命題であり,これをEmil Kraepelinとその弟子たち,Karl Jaspers,Kurt Schneiderおよび著者らに共通する経験批判の立場から,著者独特の鋭い論法を用いて敍述したものである。
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