従来,失語・失行・失認などの病巣症状が発作性に生じうることについては,すでにFaust,Pichler,Derwort,Kalman von Santha,Ajuriaguerra,Hécanら幾多の学者によつて注目されているところである。われわれも最近,脳外傷後におこつた頭頂・後頭葉の病巣発作と考えられる1例を経験し,この種の病巣発作は,けいれん発作と同様の危険性を有しているにもかかわらず,従来あまりかえりみられず,とくに交通関係の業務に従事している人などに,その危険性が大であることよりみても,頭部外傷患者の復職にさいして,今後は,かかる発作の有無についても十分顧慮さるべきであると考え,ここに報告し,あわせて若干の考案を加えたいと思う。