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文献詳細

雑誌文献

精神医学2巻12号

1960年12月発行

研究と報告

視覚性失認の象徴型

著者: 井村恒郎1 野上芳美1 千秋哲郎1 後藤弘1

所属機関: 1日本大学医学部神経科

ページ範囲:P.797 - P.806

文献概要

 著者たちは一昨年暮から今年にかけて,視覚性失認の1例を観察したので,その記録の要点をここに報告し,あわせてこの症例の示唆する問題について考察したい。症例は,いわゆる同時失認,相貌失認,動物失認,場所の失認,それから色彩失認と,一連の視覚性失認,症状を呈していた。その個々の失認症状は,従来の文献例に比較して,大同小異のものであつたが,この症例を全体としてみると,つぎの諸点ではなはだ特異な1例であつた。
 第1にふつうの知能検査法の施行にたえることができ,その成績は総点としては優に正常知能の範囲内にあり,ただ文字以外の視覚的な素材を用いた知的操作にいちじるしい欠陥を示していた。その特殊な知能プロフィルは,これまでたびたび問題になつた知能と失認との関係について,臨床に即した実際的な知見を与えるものと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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