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文献詳細

雑誌文献

精神医学2巻4号

1960年04月発行

研究と報告

うつ病および反応性うつ病のロールシャッハ・テスト—(正常群・神経質症群との比較)

著者: 中江正太郎1 石井昌子1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神科

ページ範囲:P.225 - P.230

文献概要

 内因性うつ病,反応性うつ病の比較的初期の,初診時入院時の患者各15名のロールシャツハ・テストを施行し,神経質症群および正常群,各15名と比較,推計学的に検討した。
 その結果,修正B. R. S. で正常群とうつ病群間にいちじるしく有意の差をみ,正常群と反応性うつ病および神経質症群に有意の差を認めた。これより内因性うつ病において疾病の反映としてのもっとも低いpersonality統合水準がうかがわれ,神経質症,反応性うつ病がこれにっいだ。
 Rej(拒否)は内因性うつ病でこれを示すものが多く,正常群との問に有意が認められ,精神運動抑制による統覚困難が明らかに推察された。R+%はF+%とともに従来からいわれているごとくうつ病,反応性うつ病においても正常,神経質症の2群とともに高い値を示し,F+%では4群に有意差はなかつた。R+%は正常群とうつ病および反応性うつ病両群の問に有意の差がみられ,感情,情緒面の関与する現実吟味の点でうつ状態群に微妙な低下がうかがわれ,精神病理学的に意味があるかと思われた。Mは疾患3群でともに正常群に比し,いちじるしく有意に低く,疾患による内的統制の低さが示された。Wは神経質症群が他の3群に比しいちじるしく有意に高い。これはMのいちじるしい低下とともにWとMとの比の不均衡となり神経質症群に特徴的であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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