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精神障害分類についての一試案
著者: ピエールピショー1 中島宏12
所属機関: 1パリ大学医学部精神科 2仏国厚生省国立衛生研究所
ページ範囲:P.257 - P.274
文献購入ページに移動序言
精神医学が医学のなかの一部門として認められ,近代科学精神のもとに観察研究されるようになつてから,多くの分類が試みられて来た。しかし,この領域の科学的基礎知識の未熟性は,その疾患分類にあたって,しばしば伝統的または主観的な概念の導入をもたらし,これより現在世界各国の図式は一国内においても多数の学派を生み,さらに各精神医学者がそれぞれ異つた言葉を使用し,あるいは1つの言葉を色々な意味で語り合い多くの混乱を生ずるにいたつている。
しかしながら,精神医学研究の進歩,とくにその病因学的・治療学的研究,また精神衛生などの国際的協力は,世界の精神医学者が共通の言語を持つ必要を要求している。この問題解決のため現在世界各国で種々の努力がされており,W. H. Oにおいても国際分類試案の作成を企画中であり,また米国を中心としてこの問題は盛んに討議されている。著者の1人,ピショーは1959年2月にニューヨークで開かれた集会(World conference on problems in field study in the mental disorders)に,これからわれわれの提示する分類試案の草案を持つて出席している。しかしわれわれの考えでは,この問題の討論は日本のように世界各国の精神医学のよき伝統がとり入れられ磨き上げられ成長したところで批判討論されるのが,この試案の改善発展のため最上の方法であると考える。これが,ここに発表を試みる所以である。
精神医学が医学のなかの一部門として認められ,近代科学精神のもとに観察研究されるようになつてから,多くの分類が試みられて来た。しかし,この領域の科学的基礎知識の未熟性は,その疾患分類にあたって,しばしば伝統的または主観的な概念の導入をもたらし,これより現在世界各国の図式は一国内においても多数の学派を生み,さらに各精神医学者がそれぞれ異つた言葉を使用し,あるいは1つの言葉を色々な意味で語り合い多くの混乱を生ずるにいたつている。
しかしながら,精神医学研究の進歩,とくにその病因学的・治療学的研究,また精神衛生などの国際的協力は,世界の精神医学者が共通の言語を持つ必要を要求している。この問題解決のため現在世界各国で種々の努力がされており,W. H. Oにおいても国際分類試案の作成を企画中であり,また米国を中心としてこの問題は盛んに討議されている。著者の1人,ピショーは1959年2月にニューヨークで開かれた集会(World conference on problems in field study in the mental disorders)に,これからわれわれの提示する分類試案の草案を持つて出席している。しかしわれわれの考えでは,この問題の討論は日本のように世界各国の精神医学のよき伝統がとり入れられ磨き上げられ成長したところで批判討論されるのが,この試案の改善発展のため最上の方法であると考える。これが,ここに発表を試みる所以である。
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