文献詳細
研究と報告
特異なる器質性痴呆の1例—図式,グシュタルトおよび象徴について
著者: 越賀一雄1 浅野楢次1 浅野楢一1 小谷健治郎1
所属機関: 1大阪医科大学神経科教室
ページ範囲:P.305 - P.314
文献概要
1.I.Q.107ないし97で知能はその限りおおむね平均知を示した。
2.「失語,失行,失認の検査により軽い同時失認を認めたのみでその他の大脳病理学的な病巣症状は証明しえなかった。
3.図式をカントのいうように感性と悟性との媒介的な役割を有するものと解するとき,図式は認識が成立するために必らず働いているものである。ある物体,ある絵が認識されるには,まずその左右上下の空間的関係が成立させられねばならないが,この関係を成立せしめる働きをなすものが図式である。しかして失認のみならず,失語,失行を含むいわゆる大脳病理学的症状は全て図式の障害と解することもでぎる。しかしながら本例ではかかる意味での図式の障害は存在しない。
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