文献詳細
展望
文献概要
体感異常のみを単一症候として,そのほかにほとんど異常を認めない患者に遭遇した場合に,多くは心気症,神経症,精神衰弱,心身症,抑うつ症などの診断をつけてしまうが,その経過,症状を仔細に観察してみると,これらの診断がしつくりといつていないのに気がつく。このような場合に,フランス精神医学で用いられているCénéstopathieセネストパチーなる概念を援用すると大変つこうがよいのであるが,セネストパチーという言葉のもつ実際の意味はあまりはつきりとはしていない。文献も最近はほとんどないので,ここでは従来使われていた意味と,こんにち私達の使つている範園についてふれてみたいと思う。まずセネストパチーのもとになるセネステジーからのべると。
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