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ドイツ通信(2)
著者: 関野やす1
所属機関: 1元横浜市大
ページ範囲:P.397 - P.400
文献購入ページに移動ご存知のとおりこの国には,私立の大学はごくわずかで,大部分が国立,それも数が非常に少いので,どの大学にもわれわれが名前くらいは知つているような人が何人かはおります。ライヒャルトはこの大学におり,つい数日前85才の誕生日をむかえたのだそうでございます。私の部屋の前の廊下の窓ごしに彼の住まいがみえ,このクリニークと地つづきの丘の上に住んでいます。またフォン・ゲープザッテルもこの大学におり,医学生も,彼の人間学の講義をきいております。彼もすでに80才くらいだそうで,今年の2月彼の誕生日には,かつてやはりこの大学にいたハイデツガーもお祝いにやつてきたそうでございます。いま,私は会話の個人教授をうけておりますが,この教師が,心理の学生で11月から始まるゲープザッテルの講義に出るようにすすめてくれますが,どうせわかるわけはありませんが,一度顔くらいみておこうかなどと考えております。また私の教師というのが学生といつても,すでに40才に近く,3年前までロシヤの捕虜だつたという人で,カントのすぐ前頃Wolffという哲学者がこの国にいたそうですが,その4代目だそうです。
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