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研究と報告
Iminodibenzyl誘導体(Tofranil)による抑うつ状態の治療経験ならびに正常人脳波におよぼす影響について
著者: 島薗安雄1 山口成良1 猪原駿一1 小野啓安1 鳴河弘旨1
所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.465 - P.471
文献購入ページに移動Chlorpromazineの出現以来,精神科領域においては,つぎつぎに新しい薬物があらわれ,その名は枚挙にいとまがないほどである。しかし種々の抑うつ状態に対するこれらの薬物の効果は,十分満足するまでにいたつていない。電気ショック療法が,うつ病に対してしばしば劇的効果をおさめることは,周知の事実であるが,種々の合併症を有する者や,老年者には施行困難であり,このため抑うつ状態にとくに効果をもつ薬物の出現が早くから望まれていた。1957年に,KuhnがIminodibenzyl誘導体としてTofranilを抑うつ状態の治療に用い,著効を示すことを発表して以来,Tofranilに関する多くの発表がなされている。
われわれもこの薬物を用いて,抑うつ状態の治療を行ない,また筋注により,正常人の脳波におよぼす影響を観察した。
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