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文献詳細

雑誌文献

精神医学2巻9号

1960年09月発行

展望

フランスの妄想研究(2)—第1部 症候論(つづき) 慢性幻覚精神病と解釈妄想病

著者: 小木貞孝1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.587 - P.592

文献概要

慢性幻覚精神病(psychose hallucinatoire chronique)
 慢性幻覚精神病の名の起こりは1907年のDupre1)の記載によるが,これを1つの疾患単位として明確に規定したのはGilbert Balletである。彼は1911年に主論文2)を出し,2年後に補足的な論文3)を出した。つぎにこの2つの記載を要約して紹介してみよう。なお以下,慢性幻覚精神病をPHCと略称することにする。
 Gilbert BalletはまずMagnanの学説を批判することから始める。Magnanの慢性妄想病は1つの立派な記述であり類型であるが実際にこういう患者につきあたることは少い。一方,彼の変質者には彼のいうような変質徴候(stigmates dits de dégénérescence)を認めることはまれであり,慢性妄想病と変質者の加害的被害者とは実は混在している。両者は遺伝学的にも大差はなく,また変質者の妄想中にも系統化の不十分なものもあるし,慢性妄想病においても被害妄想と誇大妄想がしばしば併存するのをみる。要するに疾病の分類基準は別にこれを求めねばならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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