icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻1号

1978年01月発行

動き

Maudsley病院外来精神療法ユニット

著者: 北山修1

所属機関: 1武田病院

ページ範囲:P.103 - P.109

文献概要

I.はじめに
 ロンドンにあるMaudsley病院の外来患者のための建物はその四階のフロアーを精神療法にあてている。待合室からのエレベーターを降りるとすぐ前が秘書たちの部屋で,それに続いて面接治療用のオフィスがならび,廊下のつきあたりには集団精神療法のセミナーのための大きな部屋がある。ここでは年間100人あまりの外来患者たちが精神療法を受けている。
 Maudsley病院では様々な理論と技法を用いる心理的治療が行なわれているが,精神療法とは“exploratory” “interpretative” “psychodynamic”などと形容される精神分析的な精神療法をさし,一般外来で行なわれるsupportive psychotherapyや,Maudsley病院の臨床心理士や看護者たちによって行なわれる行動療法とははっきりと区別されている。その定義にも様々なものがあるが,Maudsley病院のconsultant psychotherapistであるH. H. Wolffは,“insight-directed psychoanalytically-oriented psychotherapy”と定義している。
 ロンドン大学医学部の卒後教育のための専門病院であるMaudsley病院は,色々な意味で英国の精神医療の特徴を映し出している。英国の精神医療やその卒後教育についてはこれまでにも詳細に報告されており1,6),Maudsley病院の活動も著名な“行動主義者”たち(例えばEysenck,Rachman,Marks)がいることで日本においても知られている。しかし,精神療法ユニットについては詳しい報告は少ない。筆者は英国での卒後研修のうち1974年からの1年間をclinical assistantとしてこのユニットですごしたので,その内容を報告し,英国の精神療法の現状とその問題点を概括してみたい。なお,英国の精神分析については先に牛島18)の報告がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら