文献詳細
研究と報告
視覚発作と仮性周期性片側性発作波を示した進行麻痺の1例—Lissauer型と思われる例
著者: 大山繁1 森山茂1 南竜一1 服部英世1
所属機関: 1熊本大学医学部神経精神科教室
ページ範囲:P.1213 - P.1221
文献概要
ペニシリンをはじめとする諸種抗生物質の発達による早期梅毒の治療や,衛生知識の普及などで,近年定型的進行麻痺をみる機会は少なくなりつつある15,30)。その反面,非定型な病像を呈するものが増えており,非定型的病像を呈した進行麻痺の報告もみられる26)。一方,進行麻痺では治療中や治療後に幻覚妄想を呈したり病像変遷のあることもよく知られている15,30)。
われわれは,髄液所見からみてすでに炎症機転は停止していると思われる進行麻痺患者で,経過を追っていくうちに,多彩な視覚発作と脳波上仮性周期性片側性発作波Pseudoperiodic Lateralized Paroxysmal Discharges13),以下PLPDsと略記)を認めた1例を経験した。また本例は,臨床症状,検査所見から進行麻痺のなかではまれなLissauer型と思われた。本例の臨床経過を述べるとともに視覚発作,脳波所見,治療済みの進行麻痺の症状悪化要因などについて,若干の考察を行ないたい。
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