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文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻11号

1978年11月発行

研究と報告

精神症状を呈した特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の1例

著者: 山本光利1 佐藤光源1 猪谷健1 大月三郎1 町田周二2

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神科 2岡山大学医学部第三内科

ページ範囲:P.1223 - P.1228

文献概要

I.はじめに
 特発性血小板減少性紫斑病Idiopathic thrombocytopenic purpura(ITP)は,皮膚,粘膜,その他の組織に出血症状を来す疾患で,急性型と慢性型があり,前者は小児に多く,後者は成人に多い。その病因に関しては,未だ確証はないが,近年,自己免疫疾患として考えられている。また,本症は全身性エリテマトーデス(SLE)に移行することがあり注目されている。
 本症の臨床症状は多様であるが,精神症状としては不穏,興奮,昏迷,昏睡などの意識障害が見られるという1)。ITPに精神症状を伴うことはまれと考えられており,本邦では江村ら2)による報告がある。江村らは数日のけいれん発作とそれに続いて精神症状の現われたITPを経験しているが,われわれは長期にわたりITPの再発を繰り返し,それに同期して精神症状を呈した例を経験した。本例は江村らの報告にみられる健忘,失書等にとどまらず,幻覚妄想状態を伴う精神病様状態を呈した。われわれの知る限りでは,ITPにおいて著明な精神病様状態を呈したとの報告はなされていないので報告するとともに,若干の考察を行ないたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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