文献詳細
短報
文献概要
I.はじめに
うつ病の生化学的背景として,精神薬理学的知見から発したカテコールアミン仮説やセロトニン仮説が提唱され,カテコールアミン(CA)特にノルエピネフリン(NE)やセロトニン(5HT)の減少がうつ病を引き起こすのではないかと考えられたが,その後の研究から,問題はそれだけでなく,他の神経伝達系との相互関係や受容体側の感受性なども考えられるようになり更に複雑になっている。
一方,抗精神病薬の投与に伴って,パーキンソン症状,ジスキネジア,ジストニアなど様々な形の錐体外路症状が引き起こされることも広く知られている。これらの錐体外路症状発現の原因も,脳内のドーパミン(DA),NE,5HT,アセチルコリン(ACh)などの神経伝達物質が関与していると考えられているが,未だ十分には解明されていない。
われわれは,3例の退行期うつ病患者において,そのうつ症状の経過とほぼ一致して,増悪,軽快する口周部のジスキネジアを伴うことを見い出した。調べ得た範囲においてこのような報告は見当らない。ここに症例を提示し,脳内アミンとの関係について若干の考察を加えて報告する。
うつ病の生化学的背景として,精神薬理学的知見から発したカテコールアミン仮説やセロトニン仮説が提唱され,カテコールアミン(CA)特にノルエピネフリン(NE)やセロトニン(5HT)の減少がうつ病を引き起こすのではないかと考えられたが,その後の研究から,問題はそれだけでなく,他の神経伝達系との相互関係や受容体側の感受性なども考えられるようになり更に複雑になっている。
一方,抗精神病薬の投与に伴って,パーキンソン症状,ジスキネジア,ジストニアなど様々な形の錐体外路症状が引き起こされることも広く知られている。これらの錐体外路症状発現の原因も,脳内のドーパミン(DA),NE,5HT,アセチルコリン(ACh)などの神経伝達物質が関与していると考えられているが,未だ十分には解明されていない。
われわれは,3例の退行期うつ病患者において,そのうつ症状の経過とほぼ一致して,増悪,軽快する口周部のジスキネジアを伴うことを見い出した。調べ得た範囲においてこのような報告は見当らない。ここに症例を提示し,脳内アミンとの関係について若干の考察を加えて報告する。
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