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研究と報告
音刺激負荷による実験的睡眠障害
著者: 中川泰彬1
所属機関: 1国立精神衛生研究所
ページ範囲:P.159 - P.169
文献購入ページに移動I.はじめに
睡眠障害は精神科臨床のみならず,一般臨床においてもしばしば遭遇する症状である。
睡眠障害の臨床的,精神生理学的諸研究はこれまで幅広く包括的に行なわれてきたが,主として睡眠に対する自覚的体験と神経生理学的諸現象,とくに睡眠脳波との相関において検討を進められてきている。
睡眠障害が著明に認められる精神分裂症,うつ病などにおいては睡眠障害の原因が精神病理学的あるいは神経生理学的に想定されうるが,その因果関係は明白ではない。一方原因の明確な睡眠障害も存在する。これらは正常者にある種の薬物投与時の睡眠障害,日常の正常範囲外の強度の刺激,たとえば騒音下での睡眠障害などである。このように睡眠障害も一様に考えられない。睡眠障害の原因と考えられる因子も質的,量的に異なっていることが多く,その障害時の生理学的現象も多様であると想定される。正常者に強度の外的刺激を与えることによって睡眠障害を実験的に作り出し,その神経生理学的な検討を行なうことは睡眠障害の生物学的側面を知ることであり,また複雑な睡眠障害の解明に一つの手がかりを与えるものとして有意義と考える。
睡眠障害は精神科臨床のみならず,一般臨床においてもしばしば遭遇する症状である。
睡眠障害の臨床的,精神生理学的諸研究はこれまで幅広く包括的に行なわれてきたが,主として睡眠に対する自覚的体験と神経生理学的諸現象,とくに睡眠脳波との相関において検討を進められてきている。
睡眠障害が著明に認められる精神分裂症,うつ病などにおいては睡眠障害の原因が精神病理学的あるいは神経生理学的に想定されうるが,その因果関係は明白ではない。一方原因の明確な睡眠障害も存在する。これらは正常者にある種の薬物投与時の睡眠障害,日常の正常範囲外の強度の刺激,たとえば騒音下での睡眠障害などである。このように睡眠障害も一様に考えられない。睡眠障害の原因と考えられる因子も質的,量的に異なっていることが多く,その障害時の生理学的現象も多様であると想定される。正常者に強度の外的刺激を与えることによって睡眠障害を実験的に作り出し,その神経生理学的な検討を行なうことは睡眠障害の生物学的側面を知ることであり,また複雑な睡眠障害の解明に一つの手がかりを与えるものとして有意義と考える。
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