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研究と報告
ミオクロニーを伴ったIctal Stuporの1例
著者: 加藤秀明1 伊藤逸郎1 森俊憲2 吉田弘道2
所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学教室 2犬山病院
ページ範囲:P.171 - P.177
文献購入ページに移動Lennox8)は1945年,それまで主として大発作の重積状態に使用されていたstatus epilepticusに対し,小発作の重積状態にpetit mal statusの呼称を初めて使用した。以後種々の名称で報告されてきたが,Niedermeyerら10)(1965)は小発作重積症とするには非定型なものが多いとし,ictal(spike-wave)stuporの名称を提唱した。最近はictal stuporとして報告されることが多いようであるが,これもstuporという語義の多様さやあいまいさなどで必ずしも全面的に認められたものではない。なお,細川6)はictal stuporをpetit mal status properとspike-wave status syndromeに分けることができるとし,さらにこれに精神運動発作重積症を含める考え9)もある。これまでに多くの報告や総説があるが,臨床および脳波的にきわめて多岐にわたっており,さらに症例の蓄積と整理が必要と思われる。
われわれは最近主として前胸部,上腕部に限局したミオクロニーを伴ったictal stuporの1例を経験した。これまでに報告されたictal stuporのなかにはミオクロニーを伴ったものはほとんどないといってよく,また病態生理を考えるうえでも興味ある症例と考えられる。本稿において,本症例のictal stuporにおける位置づけと病態生理について若干の考察をしたので,その結果を報告する。
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