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研究と報告
音楽てんかんについて—自験例と文献的考察
著者: 河合逸雄1 藤繩昭2 木村繁男3
所属機関: 1京都大学医学部精神科 2京都大学教養部心理学教室 3京都南病院内科
ページ範囲:P.271 - P.278
文献購入ページに移動Gastautによれば広義の反射てんかん(induced epileptic seizure)は,てんかんの約1%を占めるが19),音楽てんかんmusicogenic epilepsyもこの種に属するものである。本症は文字通り,てんかん発作が昔楽を聞くことによって誘発されるものであるが,後述するように,音楽の内容は極めて要素的なものから高次な水準まであり,また,かならずしも,特定の音楽を聞かぬ限り,てんかん発作を生じぬというほど発作と音楽が一義的に対応しているわけでない。さしずめ,本症の定義は,あるてんかん患者において,音楽を聞くことと発作出現とが密接に関連している場合を音楽てんかんと呼ぶことになろう。現在のところ,著者らの調査によれば,世界で70例近くの報告があるが,わが国ではおそらくはじめての経験なので,自験例を報告し,併せて文献的考察を行なう。本症の総説としては,Titeca47),Poskanzer35),Janz22)があり,わが国では福山16,17)が紹介している。
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