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文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻4号

1978年04月発行

文献概要

研究と報告

うつ病に対するGB 94(Mianserin hydrochloride)の使用経験

著者: 清水信1 笠原洋勇1 川室優1 北西憲二1 青木秀明1 中村吉伸1 森岡洋1 新福尚武1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神神経科

ページ範囲:P.413 - P.422

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I.はじめに
 1957年にKuhn, R. によって三環系抗うつ剤であるimipramineが導入され,うつ病に対する薬物治療の門が開かれて以来,うつ病の身体病理的な知見の集積に伴って各種の三環系抗うつ剤,モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤などによるうつ病の薬物療法が次々と開発され,臨床に応用されてきたことは衆知のとおりである。この結果,今日われわれが実際に利用しうる抗うつ剤の種類は優に10指に余るものがある。さらに加えて抗うつ作用を持つ一部のtranquilizerも加わって,われわれが臨床場面でうつ病の治療にどの薬物を選択するべきかに迷うことも少なくない。
 こうした状況にもかかわらず,これらの薬物にはいずれも一長一短があり,理想的な満足できる抗うつ剤の出現を期待して今日もなお新たな薬物の開発が続けられている。今回われわれはオランダ・オルガノン社により開発された,従来のどの系統にも属さない新しい抗うつ剤であるGB 94(Mianserin hydrochloride)を日本オルガノン株式会社より提供され,臨床効果を検討した。その結果,抗うつ作用,副作用その他の面でこの薬物が,従来の抗うつ剤に比べていくつかの優れた性質を持つとの知見が得られたので,ここに報告する。
 本剤は元来,抗セロトニン製剤開発の目的で合成された薬物で,図1のような四環構造を有しており,すでにヨーロッパの多くの国で臨床効果の検討が進められ,その抗うつ効果が確認されている1,2,8〜10)。また急性・慢性毒性,催奇性などに関しても,動物実験の結果,特記すべき問題はないとされている3〜6)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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