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文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻4号

1978年04月発行

文献概要

古典紹介

—Philippe Chaslin—La confusion mentale primitive

著者: 大東祥孝1 浜中淑彦2

所属機関: 1京都第一赤十字病院精神科 2京都大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.423 - P.434

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 この論文の題名の原発性精神錯乱confusion mentale primitiveという言葉は,古典的精神病概論書にも,ごく最近のそれにも見当らないものであるが,現在までフランスで一般に認められている他の病型とは完全に区別される一群の精神疾患maladies mentalesが確かに存在するのであって,それはこの名称で呼ばれるのが適当である。何故なら現在では,ドイツ人によって,更にはイギリス,アメリカの幾人かの学者によってすら,この疾患群はすでに受け容れられているからである。とはいえ,最近ではまったく忘却されているが,フランスにおいても(エスキロールEsquirol以来!)この特別な病型の記載はあったのである。この忘却は,高名なモレルMorelの一派による有害な影響のもとに古典的方向から若干逸脱し過ぎた教育を受けたために,われわれが本来の伝統を踏まえなかったことに由来する。
 私の目的の一つは,マニーmanieでもメランコリーmélancolieでも,「変質者の妄想病délires des dégénérés」でもない,独自な急性精神病folies aiguësの一型についてフランスの医師の注意を喚起することにあり,更に私は,原発性精神錯乱のことはすでにフランスにおいて,外国で信じられている以上によく知られており,したがって,被害妄想病délire des persécutions,進行麻痺,その他多くの疾患についてと同程度に,われわれにはそれについて次のように語る資格があるのだということを証明したいのである。すなわち,精神錯乱の範囲を規定したのはわれわれフランス人が最初であって,それは最も初期のエスキロールの仕事に後続する諸著作においてなされたものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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