文献詳細
文献概要
展望
精神科治療における血中濃度測定の意義—抗うつ剤と抗精神病剤
著者: 浅野裕1
所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.478 - P.488
文献購入ページに移動I.はじめに
向精神薬が精神疾患の治療に導入されてすでに20余年を経過し,これら薬物の精神病像ならびに身体諸機能に与える効果については,今日ほぼ一定の評価が得られている。また,この10年間の近接領域における進歩はめざましいものがあり,三環系抗うつ剤や抗精神病剤の血漿濃度測定が可能となるにつれて,薬物とその代謝物の生体における動的過程も知られるようになった。さらに,これら薬物による臨床効果を血漿薬物濃度との関連から吟味する努力も続けられている。今後,これら研究の成果をもとにして,向精神薬療法はさらに合理的なものになっていくと想定されるが,現時点においても日常の治療に利用できる所見が多くみられるので,本稿においては三環系抗うつ剤とchlorpromazineの血漿濃度に関する報告のなかから治療に際して基礎になる所見を整理するとともに,臨床効果との関連についてふれてみたい。
向精神薬が精神疾患の治療に導入されてすでに20余年を経過し,これら薬物の精神病像ならびに身体諸機能に与える効果については,今日ほぼ一定の評価が得られている。また,この10年間の近接領域における進歩はめざましいものがあり,三環系抗うつ剤や抗精神病剤の血漿濃度測定が可能となるにつれて,薬物とその代謝物の生体における動的過程も知られるようになった。さらに,これら薬物による臨床効果を血漿薬物濃度との関連から吟味する努力も続けられている。今後,これら研究の成果をもとにして,向精神薬療法はさらに合理的なものになっていくと想定されるが,現時点においても日常の治療に利用できる所見が多くみられるので,本稿においては三環系抗うつ剤とchlorpromazineの血漿濃度に関する報告のなかから治療に際して基礎になる所見を整理するとともに,臨床効果との関連についてふれてみたい。
掲載誌情報