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文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻5号

1978年05月発行

文献概要

展望

精神科治療における血中濃度測定の意義—リチウムについて

著者: 渡辺昌祐1

所属機関: 1川崎医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.494 - P.498

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I.はじめに
 精神科治療において薬剤の血中濃度測定の意義を要約すると次の点が明らかにされることであろうとCooperら1)が述べている。
 1)患者の服薬情況。
 2)薬剤の血中濃度と治療効果ないし副作用出現の相関。
 3)薬剤間の相互作用の有無,程度を明らかにする。
 4)血中濃度と関連したニューロトランスミッターの代謝の検討。
 5)二重盲検比較試験において薬剤濃度を規定したうえで,薬剤の効果を明らかにする。
 6)薬剤やその代謝産物が肝臓の薬物代謝酵素を誘導するか否かを明らかにする。
 7)単剤投与した薬剤の代謝力動とその代謝産物を明らかにする。
 8)薬剤の連続投与による代謝力動を明らかにする。
 9)薬剤を1回投与して,個々の患者の連続投与した場合に得られるであろう血中の定常濃度を予測すること。
 10)商品名の異なる薬剤のbioavailabilityをチェックすることができる。
 以上のことが薬剤の血中濃度をチェックすることにより,明らかになり,従来,医師の経験,印象にたよって薬剤の投与量が決められた精神科薬物療法がより科学的なデータをもとにした投薬が行ない得る可能性を持っているといえよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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