文献詳細
文献概要
研究と報告
7歳で分裂病様幻覚および関係妄想を発した1例
著者: 高橋俊彦1
所属機関: 1名古屋大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.519 - P.526
文献購入ページに移動I.はじめに
われわれは7歳で分裂病様状態を呈し,後に脳波異常の存在が見出されたが,数年で症状が背景化し,10年を経過してもけいれん発作が一度もみられずまた人格崩壊にも至っていない症例を経験した。6歳から9歳にかけては分裂病様症状の発現は稀であるうえに,この年齢に発病する精神病の概念の整理も必ずしも十分ではなく,更に年齢が若年であるために,患児の体験する微妙な内的異常体験の陳述も十分に得られないことが多いため,病態の把握そのものも容易でないことが多い。その中にあっては本症例は,幻覚,妄想などの内的異堂体験が比較的豊富に把握された例である。以下この症例を記述現象学的に成人の分裂病などと比較し,診断の問題も考え,更に幻覚,関係妄想が可能となる成立条件についても若干の考察を試みた。
われわれは7歳で分裂病様状態を呈し,後に脳波異常の存在が見出されたが,数年で症状が背景化し,10年を経過してもけいれん発作が一度もみられずまた人格崩壊にも至っていない症例を経験した。6歳から9歳にかけては分裂病様症状の発現は稀であるうえに,この年齢に発病する精神病の概念の整理も必ずしも十分ではなく,更に年齢が若年であるために,患児の体験する微妙な内的異常体験の陳述も十分に得られないことが多いため,病態の把握そのものも容易でないことが多い。その中にあっては本症例は,幻覚,妄想などの内的異堂体験が比較的豊富に把握された例である。以下この症例を記述現象学的に成人の分裂病などと比較し,診断の問題も考え,更に幻覚,関係妄想が可能となる成立条件についても若干の考察を試みた。
掲載誌情報