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研究と報告
躁うつ病様状態で初発したWilson病の1例
著者: 大沼悌一12 藤岡邦子1
所属機関: 1弘前大学医学部神経精神医学教室 2現在国立武蔵療養所
ページ範囲:P.553 - P.560
文献購入ページに移動Wilson病でさまざまな精神症状が出現することは,1914年Wilsonの記載以来よく知られている事実である。これらの精神症状の主なものは,感情不安定,多幸症,強迫笑,強迫泣などの感情障害ならびに知能障害や性格変化などである。また精神分裂病様状態や躁状態またはうつ状態を示した症例の報告もあるが,これらのほとんどは,神経症状に遅れて出現し,いわゆる脳器質性精神障害として理解されうるものであり,いわゆる内因性精神病様状態で初発した例は極めて少ない。著者らは最近明らかに躁ならびにうつ状態の両相を繰り返す形で発症し,後に典型的なWilson病に至った症例を経験したので,精神症状の推移を中心に報告する。
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