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文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻5号

1978年05月発行

文献概要

研究と報告

大脳皮質にLewy小体と老人斑が広範に分布したにもかかわらず,痴呆・パーキンソン症状が目立たなかった1老人

著者: 小阪憲司1 松下正明1 堀映1

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所神経病理

ページ範囲:P.569 - P.574

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I.はじめに
 老年期の精神障害者を診ている者にとって,その老人の臨床症状と脳の老人性変化との関連は常に大きな関心事である。特に,痴呆化しつつある,あるいは痴呆化した老人について,その痴呆の程度や性状と脳の老人性変化の種類・程度・分布との関係を知ることは大切なことである。一般に,痴呆の程度と脳の老人性変化の程度とは相関するものとされている4,9,24,27)が,必ずしも相関しない例もよく経験される。一方,老人の痴呆患者で,患者およびその患者をとりまく環境の何らかの変化を契機として痴呆が急激に発現したり,痴呆が急激に進行する例も多く14,21,23),その際,脳の老人性変化の状況はどうなっているかという問題もわれわれの大きな関心事であり,痴呆化しつつある老人の初期の脳病変をみることも意味があると思われる。
 ここに報告するのは,生前,痴呆やパーキンソン症状が目立たなかったにもかかわらず神経病理学的に老人斑とLewy小体が広範に分布していた症例であり,臨床神経病理学的な観点から若干考察することにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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