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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

左利き患者にみられた右半身の多彩な身体図式障害と触覚失認の1例

著者: 菊池あつ子1 山縣博1 細川武2

所属機関: 1埼玉医科大学精神科 2埼玉医科大学神経内科

ページ範囲:P.649 - P.654

I.はじめに
 身体図式障害の中で,半側に限って奇異な訴えをする一群の症状があるが,その内容は様々である。Ajuriaguerra et Hecaen1)は,半側の忘却,無使用のような無意識的なもの,半側の喪失感,変形異物感,phantom体験のような意識的身体図式障害およびBabinski型の半側麻痺の否認の3者に分類した。このような症状を呈するには,心的水準の低下,人格反応の問題,運動麻痺あるいは知覚麻痺の程度などいろいろな条件が関与しているといわれている。多くは,ほとんど左半身に限られており,右半身に出現するのは稀である。このことから,従来身体図式障害の最高中枢は劣位半球,殊に右頭頂葉領域が重視されているのだが,右利きにおける右半身図式障害の症例も報告されており,この場合は,多くGerstmann症候群を合併している2)
 われわれは,左利き患者で,脳血栓後の右半身麻痺とともに,右半身の興味ある身体図式障害と触覚失認を合併した症例を経験したので,ここに報告し,皆様の御批判を仰ぎたい。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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