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—Karl Birnbaum—Simulation und vorübergehende Krankheitszustände auf degenerativem Boden(Vortrag in der erweiterten Sitzllng der Berliner gerichtsärztlichen Vereinigung am 14. Januar 1909)
著者: 中田修1
所属機関: 1東京医科歯科大学犯罪精神医学研究室
ページ範囲:P.663 - P.672
文献購入ページに移動しかし私の考えでは,以上のことは説明のために十分ではありません。とりわけここでは次のことが同時に問題になると思われます。すなわち,多数の司法上の材料では,ある病像,しかも次のような病像が,とりわけしばしば観察されるということであります。その病像というのは,非常に目立つ(auffällig)もので,しばしば,精神医学で通常みられるすべてのものから非常に異なり,今日でも詐病だと言われがちなものであります。私がここで言っているのは,変質者(Degenerative)に拘禁時に出現する,あの一過性の病態であります。ここで問題なのは,司法上重要で,大都市の犯罪者にとくに豊富に出現する事例であり,その個人は,平素の状態像では狭義の精神病者に該当しなく,平素の状態像の目立った特徴によってたとえば精神薄弱者,類てんかん者,ヒステリー者,神経衰弱者,あるいは単に心的低格者などと見なされるが,拘禁時には目立って変化した外的行動を示します。その行動というのは,それを観察する者が,たとえその病的な基本状態,つまり精神病質低格を是認していても,異常な振舞いそのものは,随意的に誇張されたもの,あるいはまさに意図的に偽装されたものであると,説明しないではいられないようなものであります。
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