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研究と報告
向精神薬の副作用としての洞性頻脈—内科患者との対比
著者: 有田真1 高柴哲次郎2 伊東祐信3
所属機関: 1九州大学医学部生理学教室 2恵愛会福間病院精神科 3九州大学医学部第一内科
ページ範囲:P.727 - P.731
文献購入ページに移動向精神薬の循環器系に及ぼす副作用の1つに洞性頻脈があることが知られている1,2,8,13,14)。しかし洞性頻脈に関する従来の報告は,いずれも同一施設内において頻脈の存在を指摘し,かつその出現頻度などを記載するにとどまり,他施設との比較研究はみられない。また洞性頻脈の定義も90/分以上をとるもの,100/分以上をとるものなどまちまちであり,文献的に頻脈の出現頻度を比較する場合にも問題がある。そこで今回われわれは,「向精神薬服用中の精神科患者の脈拍数」を「向精神薬を服用していない内科患者の脈拍数」と比較し,向精神薬が果たして統計上有意に洞性頻脈を惹起するといえるか否かを検討した。病棟のような閉鎖された環境では,純粋内科患者といえども多かれ少なかれ不安,緊張が伴い,したがって健康成人とは平均心拍数が異なることも予想されるので,「向精神薬服用中の患者に頻脈が多い」と結論づけるには,このようなグループとの比較検討が必要と考えたからである。その結果,精神科患者では,内科患者に比べ,有意に脈拍数が多く,かつこの脈拍数は内服中の向精神薬量と正の相関があることを知ったので報告する。
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