文献詳細
動き
Current Issues Centering on Schizophrenic Psychoses—藍野学術財団主催・精神医学国際集談会
著者: 福田哲雄1
所属機関: 1同志社大学精神衛生 2同志社大学診療所精神神経科
ページ範囲:P.771 - P.774
文献概要
午前の部はKetyケティ(ハーバード大・マクリーン病院)のBiological Substrates of Schizophreniaと題した講演から始まった。まず基礎的研究面をとりあげ,現在までの「ドーパミン」仮説にまつわる知見を概括し,dopamine-β-hydroxylaseの増減をはじめ,transmethylationによるドーパミン・ノルアドレナリン間のインバランス説を含む幾つかの仮説は,いずれも未だ吟味の余地を残していることを指摘した。同時に,他の神経伝達物質との複雑な関係がほとんど未解明のままである点に注意を向けた。臨床面では,例の養子研究adoption studyの知見を総括し,……環境要因の介入がほとんど完全に否定できる33例の養子とそのbiological familyに限定すれば,分裂病は遺伝性のものと結論できる。その際の遺伝様式は優性・劣性のいずれもみられるが,亜型の規定内容によっては,より明確になる可能性がある。それゆえ,自分達のグループが提唱してきたschizophrenia spectrumの内容自体も,分裂病異種性の見解をとり入れたものに改善すべきであり,その線に沿った臨床・遺伝・生化学各レベルでの多角的な追究が今後の課題である……。
掲載誌情報