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薬物依存をめぐって—第1部
著者: 加藤信1 広瀬徹也2
所属機関: 1神経研究所・晴和病院 2帝京大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.812 - P.828
文献購入ページに移動1963年,WHOによって薬物依存という用語が提唱されて15年を経た今日,薬物依存の概念はわが国でも広く理解されてきたようにみえる。ここ数年の間に,薬物依存に関する国際的なシンポジウムがいくつかわが国で開催された脚註1)ことは,現実的要請もさることながら,この問題に対する関心の高まりによるものと考えられる。
薬物依存の概念はきわめて記述的(descriptive)であるため,臨床医にとって必ずしも有用な概念とはいい難い面がある。また,臨床医が実際の診療場面で直面するのは,薬物依存という状態(state)よりも,その状態から派生した種々の問題である場合が多い。中毒や嗜癖という言葉が未だに捨て去られていないのは,このような事情によると考えられる。しかし,薬物依存概念によって個々の薬物に伴う問題が明確にされてきたことを忘れてはならないであろう。
本展望では,薬物依存とそれに伴う臨床的な問題との相互関係を明らかにすることを目的として,最近の業績を紹介する。
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