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文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻8号

1978年08月発行

文献概要

研究と報告

経口避妊薬がひき金となって発症した躁うつ病の1例

著者: 久山千衣1 渡辺昌祐1 横山茂生1 久保信介1 岩井闊之1

所属機関: 1川崎医科大学精神医学教室

ページ範囲:P.863 - P.868

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I.はじめに
 経口避妊薬の副作用として抑うつ症状を中心とする精神症状がみられることは,欧米では1967年頃から系統的な研究調査が行なわれ,広く認められているところであるが,経口避妊薬が一般に発売許可されていないこともあって身体的副作用ほどには問題視されていない。本邦では,経口避妊薬とまったく同じ作用をもつ薬物が月経困難症などの治療目的に使用されており,避妊の目的で服用している人口もかなりの数にのぼると思われるのであるが,経口避妊薬の副作用としての精神障害を論じた文献は,日本産婦人科学会内分泌委員会の経口避妊薬に関する集計の中で簡単にふれられている1)ほか,高橋の総説2)がみられるのみで,症例報告はほとんどみられていない。
 今回われわれは,経口避妊薬がひき金となって発症したと思われる躁うつ病の1症例を経験したので報告し,経口避妊薬服用時にみられる精神症状についての海外文献をまとめ考察した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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