文献詳細
研究と報告
向精神薬長期服用者の自律神経機能—第2報 プピログラム所見について
著者: 岡田文彦12 浅野裕3 加瀬学4 新富芳子4 長沼俊幸5 小野寺勇夫6 山鼻康弘7 富樫弥志満8 伊藤耕三9 石金昌晴9
所属機関: 1北海道大学保健管理センター 2北海道大学精神神経科 3北海道大学医学部精神神経科 4北海道大学医学部眼科 5札幌長沼病院 6札幌岡本病院 7札幌啓生会病院 8札幌桑園病院 9札幌花園病院
ページ範囲:P.891 - P.897
文献概要
われわれは前報にて,一地方都市の総合病院併設精神科における向精神薬長期服用中の精神分裂病者の自律神経機能,特に瞳孔機能について検討を加え,対象とした入院患者のうち,36.5%の高率に,対光反応消失の所見がみられることを報告した1)。さらに,点眼薬による検討から,これらの患者の80〜90%までに,瞳孔の交感神経系および副交感神経系の末梢レベルで,ともに著明な神経遮断現象がみられることを明らかにした1)。これらの患者は多種類の向精神薬や抗パーキンソン剤(抗パ剤)を多量に服用しており,このような異常所見出現と服薬量とは密接な関連があると考えられる。
本論文では,札幌市内の精神病院に長期間にわたって入院中の精神分裂病患者のうち,同様の瞳孔異常を示す12症例について,瞳孔の対光反応と近見反応をより精密に検索することが可能な赤外線電子瞳孔計を用いて検討を加えたので報告する。
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