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文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻8号

1978年08月発行

文献概要

短報

アルコール禁断症状に対するタウリンの予防並びに治療効果

著者: 池田久男1 洲脇寛1 堀井茂男1 松田清2 尾原安郎2

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室 2河田病院

ページ範囲:P.910 - P.912

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I.はじめに
 近年,タウリン(Taurine)の神経系における生理的並びに薬理的作用が多くの研究者の関心を集めている6)。たとえば動物における実験てんかん(けいれん)に対しタウリンが抑制効果を持つことが明らかにされ,抗てんかん剤としてのタウリンの有効性が目下臨床的に検討されつつある2)
 他方,アルコール中毒者の尿へのタウリン排泄の増加(Turner)9)や,慢性アルコール中毒患者のPrepsychotic stateにおける血漿タウリン量の減少(Frederiksen)3)が指摘されている。また実験的にはマウスでアルコールの麻酔作用がタウリン前処置で拮抗されること(Iida)5)や,アルコール禁断によるマウスのけいれんがタウリンで予防並びに治療される(秋山)1)ことが観察されている。これらの事実はタウリンがアルコール禁断症状に何らかの治療的効果をもたらす可能性を強く示唆するものである。
 そこでわれわれは断酒を目的に入院した慢性アルコール中毒患者に,入院第1日よりタウリンを経口投与したところ,対照群に比べてタウリン投与群では明らかに禁断症状の発現が減少することを認めたので,その結果を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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