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文献詳細

雑誌文献

精神医学20巻9号

1978年09月発行

研究と報告

隠岐島の精神障害に関する比較文化精神医学的研究(第2報)

著者: 井上寛1 福間悦夫2 角南譲3 梅沢要一2 福田武雄1 杉原寛一郎4

所属機関: 1松江赤十字病院精神科 2鳥取大学医学部精神科 3松江市立病院精神科 4安来第一病院

ページ範囲:P.965 - P.972

文献概要

I.はじめに
 第1報において,著者ら5)は,社会文化的背景の異なる隠岐島と山陰本土における精神分裂病(以下「分裂病」と略す)について報告した。すなわち,独自の社会文化的諸条件をもち,交通の不便さから新しい時代の影響を比較的受けにくい離島である隠岐島住民に起こった分裂病および神経症と,山陰本土の米子市,松江市住民に起こったそれらを,おもにその精神病理現象的面から比較した。その結果,同じ山陰地方に属しながらも隠岐島の分裂病には親族の死,家族内葛藤の閉鎖的,血縁的社会環境を軸とした妄想形成や精神運動性興奮,atavisticな奇異な言動などが初発症状として多く認められ,経過上は人格障害の著明群と発作反復を繰り返すものが多いなどの特殊性が指摘された。
 以上の研究は,両地域の病院を受診してきたものについての調査結果であるので,対象そのものに社会的選択が行なわれ,正確な比較がなされていない危険性がある。また両地域における有病率の比較ができないのも当然のことである。そこで今回は,隠岐島,山陰本土都市部の2地域にあらかじめ調査地区を設定し,精神医学的一斉調査を行ない,精神障害の有病率や,病像,経過,遺伝的負因などを比較した。ただ一斉調査の性質上神経症,躁うつ病圏のものについては把握が困難であったので対象を分裂病に限定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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