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研究と報告
向精神薬療法時における休薬日(Drug Holiday)の試み
著者: 田中潔1 柏木徹1 今井司郎1 久田研二1 田中雄三1 挾間秀文2 小椋力2 織田尚生2
所属機関: 1国立療養所鳥取病院 2鳥取大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.981 - P.988
文献購入ページに移動精神科領域において薬物療法が広く行なわれるようになるとともに,向精神薬が漫然と長期間継続して投与される傾向が多くなってきており,最近では長期服薬による患者の不利益が大きな問題としてクローズアップされている。特に,角膜,水晶体の混濁,皮膚異常色素沈着,遅発性ジスキネジアなどの副作用は,一般に1日の服薬量が多いものや,服薬開始時からの総服用量が多いものに出現しやすいことが知られている(小椋ら1〜3))。また,患者の経済的負担や社会的活動への影響なども,長期服薬による患者の不利益として当然問題となる。今日の向精神薬療法は,このような患者の不利益という角度から再検討される時期にきている。
このための一つの動向としては,長期持続性薬剤の開発によって,1〜2週間に1回投与する薬物療法を行なおうとするものがあり,他方では現在の投薬スケジュールを再検討しようとするものである。後者の中には,従来広く行なわれている1日量の分割投与法は,1日量1回投与法と比べて,薬物血中濃度や,臨床的効果の面からほとんど差がなく,必ずしも1日3回分割投与する必要性はないとの報告(大塚ら4),Rivera-Calimlimら5))もある。この考えをさらに押しすすめるものに間歇的投与法,すなわち休薬日を設ける方法がある。しかし,これについてはいまだ十分に検討されておらず,わが国でもほとんど研究されていない。
そこで,著者らは向精神薬療法中の精神分裂病者に,治療効果を減弱させず総服薬量を減らすこと,薬物の長期連続投与によって懸念される生体の諸種の障害を軽減させる可能性,あるいは,与薬業務に要する時間短縮,患者の経済的負担の軽減などの利点を目的にした薬物間激的投与法,すなわち休薬日の設置を試みたので,その結果の概略を報告する。
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